アフリカ体験イベント「ファン・アフリカ in 南城」〜異文化体験から国際理解まで〜

1.目的

四年に一度開催される南城市まつりの一環として、沖縄県内のあらゆる世代の県民にアフリカの文化や現状を五感体験型で紹介することで、国際交流を促進し、多文化共生への理解増進を図ることを目的に本事業を開催した。

 

2.具体的な活動内容

南城市・シュガーホール及びつきしろ広場を利用し、10月26日の一日をかけて次の二事業を行った。来場者はのべ547名だった。

(1)映画無料上映事業

・アフリカはケニアを舞台に「学ぶ」ということをテーマにした、映画「おじいさんと草原の小学校」の無料上映会を開催した。ロビーではケニアの歴史や民族、映画の登場人物について展示・解説を行った。鑑賞者は小学校高学年から高齢者まで、352名に上った。鑑賞者からは「(主人公のおじいさんは)学校に行くことをあきらめなかったから、強いなぁと思いました。机とかもあんまり上等じゃないけど、勉強をがんばっていて、ぼくもがんばらなきゃなぁと思いました」「民族同士の争いが想像以上に深刻だとわかった。自分たちの手で平和にしていけるように、国境を越えて助け合いたいと思った」といった感想が聞かれた。

 (2)参加型アフリカ紹介事業

・シュガーホールのロビーやつきしろ広場を利用し、アフリカを紹介するイベントやアクティビティを行った。こどもから大人まで、実際にアフリカ人と交流しながら、遊びや学びに参加できる場を提供し、地域の国際交流の活性化を図った。

・ 地元・沖縄で活躍中のアフリカ太鼓・ジェンベの演奏集団である“アフリケージア”による参加型太鼓ワークショップを行った。ワークショップには、地域からのべ26名、JICAアフリカ研修員21名が参加し、ジェンベや歌、踊りを用いて即興でパフォーマンスを創り上げた。オグツ駐日ケニア大使の来場の折には、アフリカの有名な楽曲である「ジャンボ」を参加者全員で披露した。

・ こどもを対象とした太鼓ワークショップにはのべ63名の幼児・児童・生徒が参加し、初めて触るアフリカ楽器に親しみながら、リズムにのって合奏したり体を動かしたりする楽しさを体感してもらった。JICAアフリカ研修員と一緒に取り組むことで、アフリカ人を身近に感じ交流する機会を提供した。

・ イベントの最後には“アフリケージア”のライブ・パフォーマンスを行った。プロの演奏に聴き入った後は、先述のワークショップの参加者も加わっての演奏を行ったり、JICAアフリカ研修員や参集者が前に出てきて一緒に踊ったり、最後には来場者全員でジェンベのリズムに合わせて体を動かしたりして、まさに参加型/演奏者・観客一体型のパフォーマンスとなった。

・ 「バオ」と呼ばれる小石を使ったアフリカのボードゲームや、「ティンガティンガ」と呼ばれるアフリカのポップアートを用いた塗り絵コーナーを設け、こどもたちや家族連れに体験してもらった。多くのこどもたちが「バオ」に熱中していたが、なかでも発達障害児デイケアのこどもたちに人気で、繰り返し楽しんでもらった。「ティンガティンガ」は塗り終わった作品を展示するボードを設け、会場を彩った。

・ アフリカに関する書籍50冊を閲覧用に展示した。浦添市立図書館の協力を得て、こどもたちを対象にアフリカ民話の読み聞かせを行った。

・ カンガを中心としたアフリカ民族衣装の試着体験コーナーを設け、カンガには必ず記されているメッセージを紹介したり、一枚の布であるカンガには幾通りもの着こなし方があることを実演した。実際に試着してもらい、中には記念撮影をして喜ぶ来場者もいた。

・ 財団法人沖縄こどもの国の協力を得て、実物のきりんの骨(頭蓋骨及び大腿骨)を展示した。一部は触ることができるものを用意した。来場者は骨の大きさや感触に驚き、アフリカの動物や自然のスケールの大きさに触れることができた。

・ 映画の舞台であるケニアやその周辺国の様子を紹介するため、アフリカに関するパネル展を開催した。アフリカの自然、動物、食べ物、暮らし、こどもたちや学校の様子など、青年海外協力隊やその他の国際協力活動に実際に携わった沖縄県出身・在住者によって企画・紹介され、来場者に対し生きた情報を具体的に伝えながらアフリカを好きになってもらう機会となった。

・ JICAコーナーを設け、2013年6月開催予定のアフリカ開発会議(TICADⅤ)のパネルを展示し、またアフリカに関するこども向けパンフレットを含めた広報資料を配布した。

 

3.成果

(1)映画無料上映事業(対象者352人)

・ アフリカを舞台とした物語を実際に観ながら、アフリカの被植民地時代や独立にかかる苦悩、独立後の発展に向けた希望と課題、学校教育の様子など、鑑賞者がそれぞれの視点からアフリカの現状を知ることができた。

・ これまでの“遠いところ”というイメージがより具体的で身近なものに変わり、アフリカの抱える問題と地元・沖縄の課題(平和、復帰後の開発など)とを重ねながら、地球市民としての意識を向上することができた。

・ 主人公が80代で小学校に通うという物語を通じて、地域における学校教育を含む生涯学習の意義を感じてもらうことができた。

・ 国際交流・協力活動の意義について、県民が具体的なイメージをもって理解を深める機会となった。市民レベルでの国際交流・協力の動機付けが促進された。

(2)参加型アフリカ紹介事業(対象者547人)

・ アフリカ太鼓のワークショップ及びライブ・パフォーマンスを通じ、こどもから大人まで、あらゆる世代の県民が、「見て・聴いて・触れて」に加え、「アフリカ人と実際に関わって」「一緒にパフォーマンスを創り上げて」というように、五感を使い交流し協働するというまさに理想的な国際交流の機会を提供できた。

・ 上述の様子をお招きしたオグツ駐日ケニア大使に披露することができ、沖縄県民とアフリカとの友好的関係が益々発展していく可能性を印象づけることができた。今後市民レベルでの国際交流・協力を進めて行く上で、支援的体制を整えることができたであろう。

・ アフリカのこどもの遊び体験や民族衣装の試着、アフリカに生息する動物の骨の展示コーナー、写真展、アフリカ関連本の読み聞かせ等を通して、現地の人々が体験することを五感で疑似体験してもらい、アフリカをより身近に感じてもらう貴重なきっかけを提供することができた。引いては、地球市民意識の育成に寄与できたと言えよう。

・ 青年海外協力隊を含めたアフリカにおける国際協力活動に携わった県出身/在住者の写真を用い直接案内・紹介すること、またJICAのアフリカに対する事業を紹介することで、日本の国としての取り組みを広く知らしめることができた。地元のJICA国内機関との関わりや、青年海外協力隊事業などへの参加を促進することができたと言える。

 

4.おわりに

当法人にとって初年度であった前年度、アフリカ・モザンビークと沖縄とをつなぐ交流事業を行うことができた。当法人の等身大の取り組みであり、決して裨益人数が多い事業ではなかったものの、アフリカと沖縄との友好的関係に働きかけることの意義について、受益者の反応から確かな手応えを得ることができた。
その手応えを、今年度はより多くの県民に対する貢献の原動力とし、本事業に取り組んだ。県民がアフリカ文化を受け入れ、両者がチャンプルーされていく場面を目の当たりにし、改めて「地域における国際交流の振興」の意義深さを痛感させられた次第である。今後とも、国際交流をきっかけに草の根の国際協力の促進に努め、それらを通じて沖縄人ならではの平和のメッセージを発信し続けていきたい。地域における持続的かつ発展的な活動を行う組織として成長していけるよう、誓いも新たである。関係諸機関によるご支援に深く感謝申し上げます。ありがとうございました。