1.目的
沖縄とモザンビークの学校同士によるビデオレター交流を行い、沖縄とモザンビークの伝統音楽や文化にお互いが触れることによって国際的な相互理解を深め、グローバルな視点を持った青少年の育成を行う。このために、現在モザンビークで青年海外協力隊として活動する長嶺歌織氏と、沖縄で研修中のモザンビーク研修員やアフリカ各国の研修員らと共に以下の活動を行う。
2.具体的な活動内容
(1)沖縄とモザンビークのビデオレター交流
① シバ初等教育学校(モザンビーク・10月15日)
・沖縄県の現職教員でモザンビークの青年海外協力隊として活動している長嶺 歌織 氏が、現地での生活や活動の様子、モザンビークの伝統音楽ティンビラの演奏風景、長嶺氏が活動するシバ初等教育学校の生徒達による伝統音楽ティンビラの合唱・合奏・舞踊の様子を撮影したビデオレターを作成した。このビデオレターを沖縄で受領した。
② 名護特別支援学校(沖縄・11月22日)
・長嶺氏の在籍校である名護特別支援学校を訪問し、長嶺氏が作成したビデオレターの上映会を行った。
・同支援学校において、モザンビーク研修員アルミンド氏によるモザンビークの文化紹介および伝統音楽の実演を行った。また、支援学校の生徒は、アルミンド氏と共にモザンビークの歌や踊りに挑戦した。
・同支援学校の生徒により、三味線と沖縄音楽の合唱が行われた。その様子をビデオに撮影し、モザンビークで活動中の長嶺氏に返送した。
③ シバ初等教育学校(モザンビーク・3月8日)
・長嶺氏の派遣先であるシバ初等教育学校において日本から届いた写真の上映会を行った。
(2)モザンビークおよびアフリカ各国の文化紹介
JICA沖縄国際センター(沖縄・11月26日~27日)
・2011年度「国際協力・交流フェスティバル」にて、フェスティバルに訪れる家族や子ども達を対象としたモザンビークの伝統音楽やアフリカの伝統的な子ども遊びの体験イベントを行った。その際、アフリカ各国(モザンビーク、リベリア、カメルーン、ケニア、タンザニア)から訪れた研修員によるアフリカの遊びの説明やフェスティバル参加者との交流を行った。
・同フェスティバルにおいて、アフリカの言葉や食事、服装などの文化紹介を目的としたクイズ形式のパネル展を行った。
3.成果
(1)沖縄とモザンビークのビデオレター交流(対象者80人)
・モザンビークからのビデオレターを通して、モザンビークに派遣される直前まで担任であった長嶺歌織氏が、現地の言葉を流ちょうに話し、元気に活動する姿を目にし、身近な担任の先生が海外で活躍する様子をつぶさに知ることができた。生徒にとっては、遠い外国の様子を身近に感じることができる絶好の機会となり、笑顔と元気を与えることができた。
・モザンビーク研修員アルミンド氏によるモザンビーク音楽と踊りの紹介を通して、特別支援学校の生徒が、アフリカ独特のリズムや自由な動きが特徴のアフリカンダンスを体感した。日ごろ体を動かして踊りを踊る機会の少ない生徒が、アフリカンダンスの楽しさに触れたことにより、情操教育にも役立った。
・三味線と沖縄音楽の合唱による沖縄の文化を紹介し、アフリカ文化との文化的相似性をお互いに体感することができたことから、単にアフリカ人や外国語との交流にとどまらない、相互交流を深めることができた。したがって、国際理解教育の面でも、意義深い機会を提供できた。
(2)モザンビークおよびアフリカ各国の文化紹介(対象者フェスティバル参加者1500人)
・フェスティバルでアフリカの遊びを体験した来場者からは「アフリカの遊びと日本の遊びの共通性」について多くの感想が聞かれ、馴染みのない遠い国だと思えたアフリカの国々のことをより身近に感じてもらえた。
・アフリカ出身の研修員と来場者がアフリカの遊びを通して直接交わることができ、言葉の壁がある中でも共に楽しい時を過ごし互いの交流が深まった。
4.おわりに
一人の沖縄県の現職教員のつながりから、モザンビークと沖縄をつなぐ橋渡しを行い、草の根での交流事業を展開できた。普段の生活において、外国について考え、交流する機会は多くない。途上国においてはさらに国際交流の機会は限られている。そのような中、お互いに生徒のころから外国に触れるきっかけを提供できた。裨益人数は多くはないが、対象となった人々の心に深く残る事業ができたと評価している。
「地域における国際交流の振興」の増進を図る事業は、政府などからの助成を得にくい草の根の交流事業を支援するものであり、まさに“Think Globally, Act Locally”を実践する素晴らしい事業である。2011年に法人設立したばかりの当法人にとっては、事業運営を学ぶことができ、組織の成長にもつながった。この度の諸関係機関のご支援に深く感謝申し上げます。ありがとうございました。