事業内容
沖縄独自の「共同売店」による地域開発の経験は「共同売店モデル」ともいえる沖縄の素晴らしい財産であり、県内各地に残る共同店、共同売店の現代的意義を広く周知したい。そこで共同店、共同売店を支援しながら、意義を普及するために、冊子やマップを作成し(紙媒体、日本語・英語)、各共同店、共同売店に無料で寄贈し、各店で販売する。売り上げはそのまま各店へ寄付することで、経営的支援を行いたい。冊子やマップのデータはウェブサイト等で広く公開することで、より広い普及を図る。また、英語版を作成することで、外国人観光客を含めた海外の人にも共同売店を伝えることができる。
背景
沖縄本島中北部や島嶼部の集落では、集落コミュニティの相互扶助や自治を基盤に設立された「共同売店」を中心とする独特な開発事例が存在している。
共同売店とは、購買事業を中心とする協同組合的な相互扶助組織であり、集落の全員(または全戸)が出資して設立され、集落によって運営されている。明治後期、本島北端に位置する国頭村・奥集落で最初に誕生し、その後、本島中南部から離島地域にまで広がった。購買事業以外にも、生活インフラ整備や産業の振興、教育、福祉、またマイクロクレジットにも似た民間金融機能を果たすなど独自のコミュニティ開発を実現してきた。
これらの集落の多くは、孤立した交通の不便な地にあり、当時の琉球王府や明治政府から遠かったことから、近代化の面でも大きく立ち遅れてきた。また、100年あまりの間に、琉球政府、明治政府、米軍統治、そして日本復帰と、政治制度においても大きな変化を経てきている。それらの歴史的、地理的事情により、本土の他地域に見られない、また日本の現行の協同組合制度にも捉われない、独特な相互扶助の形態を発展させてきている。
この自発的コミュニティ開発の経験「共同売店モデル」は特に、まちづくりや福祉の分野で再評価が進んでいる。宮城県南部・丸森町大張地区では奥共同店をモデルに店が設立された他、広島県、京都府、大分県などでも同様の住民出資・住民運営モデルの店の設立が相次いでいる。これらの地域のほとんどが、行政や民間資本による流通やサービスが滞ってしまった過疎地、高齢化した山間地で、「買い物難民」問題に対応すべく、住民自身が自発的に出資しあい、自律的に事業を行っているものである。
これらは、住民による「自発的」で「参加型」のコミュニティ作りのモデルであり、さらに「産業振興」、「地域の公共サービスの拠点」、「地域住民主体の開発」など、「地域開発」の課題解決のために必要な要素も有しているなど、日本のみならず途上国にも応用可能な地域経営モデルであると考える。また、特に今年2012年は国際協同組合年でもあり、研究者や関係機関も沖縄の共同売店への関心の高まりが見られる。
しかし、実際の各店の経営状況は非常に厳しく、かつては200ヶ所近くあったとみられる共同売店も現在は60店ほどになり、年々減り続けているのが現状である。このままでは、非常に貴重な地域自治モデルが失われると同時に、そこでの集落生活そのものが崩壊してしまう。
そこで、その支援と再評価を促す活動として、①共同売店を紹介する冊子、マップ等を制作する。②完成した制作物を各店に寄贈し、販売してもらうことで、売り上げの支援と意義理解の促進を図る。
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